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心理的安全性の高め方

著者 松村亜里

発行 WAVE出版 

2022年3月23日

ニューヨークライフバランス研究所代表

(0)心理的安全性ってなんだろう?

心理的安全性があるということは、メンバーの挑戦や失敗を温かく見守ってくれる環境があるということ、メンバー1人ひとりが安心して自分のままでいられ、意見の言いやすい、良い関係であることをいう。

対人的なリスクをとっても安全であるという共通の認識をチームメンバーがもっていること(エドモンド教授)

心理的安全性では、「人との関係性をどうつくるか」と同時に、その関係性に中で、「自分はどうあるか」ということが、とても大事なポイントとなる。

心理的安全性の花を咲かす。花の要素は、関係性、自己効力感、自律性、目的と意味、多様性、強みです。

花の中心に強み(性格の強み)を置いたのは、それがすべての花びらと密接に関係するからである。

(1)関係性

良いつながりをつくることを最優先する。支え合う「ヨコの関係」をつくる。

全員が自分らしくいれる関係が一番である。場をつくるリーダーとしては、自分らしく、発言と行動が一致した”誠実な人“が求められる。

人間関係を壊す「4毒(批判・侮辱・自己弁護・逃避)」をなくす。

話し合いの場では、最初に「よいこと」の話題で始まるとポジティブな感情が生まれます(拡張形成理論)。

(2)自己効力感

自己効力感とは、結果を恐れながらも挑戦できる力である。不安があってもコンフォートゾーンからラーニングゾーンに飛び出す力である。

良い関係性の土台があるからこそ、自己効力感は高まると言える。「能力は努力で伸びる」というしなやかマインドセットを持つ。

相手が行動した時に、能力や結果ではなく、そのプロセス=努力や行動に注目していく声かけをする。➡判断するより描写する。比較より成長にフォーカス。事柄より気持ちにフォーカス。失敗より成功に、弱みより強みにフォーカス。

(3)自律性

自律性とは、自分の規律に従った行動を自分で決めて、自分で動いていくことをいう。
関係性と同じで、人が本来持っている基本的欲求の一つである。

自律性を育んでいけば、「尊重されている」と感じて心理的安全性も高まる。

メンバーの行動を縛らない関係性をつくる。裁量の枠を設けて自律性を高める行動を後押しする。フロー体験を意図的に引き起こす。

(4)目的と意味

目的と意味は、進む方向を示してくれる北極星である。目的が明確だと、行く方向がはっきりして安心感を得られる。自分ならではの価値観から出た意味がだと確信を持って動き出せる。

人には目的があり、そこを目指して熟練度を上げられ、自分がやりたいことをやる自律性を尊重してくれる環境があれば、やる気がでる(モチベーション3.0、ダニエル・ピンク)。

(5)多様性

「あなたはあなたのままでいい」という多様性(性質の異なるものが一緒に存在すること)が認められる環境にしていけば、「自分の言動でつながりが切れることはない」と感じられて、心理的安全性が高まる。

自分と相手の違いをそのまま認めることも多様性である。その違いこそがその人の強みと考える。「みんな違って、みんないい」を認めていこう。

ポジティブな感情は視野を広げて、人の成長につながることを「拡張形成理論」という。多様性で視野を広げてても同様な効果があり、幸せが高まって成長する。

多様性を尊重するには、各人の違うニーズをチームで共有することが大切である。自分の感情から自分のニーズに気づき、まわりの人に素直にリクエストできているか。自分の感情に気づいて表現する「非暴力的コミュニケーション(NVC)」というスキルが役に立つ。

非暴力的コミュニケーション(NVC)の4つのステップは、①観察、②感情、③ニーズ、④リクエストである。

(6)強み

能力やスキルの強みより、性格(価値観)の強みに注目する。性格の強みを知るだけで、9.5倍、その強みを使うと18倍も人は幸せになれるということも実証されている。

性格の強みは、最小の力で最高の自分をつくる。強みを発揮している時の特徴は、
次の3つのKである。①肝心(強みはアイデンティティの一つ)②簡単(日常に中であまりにも簡単に発揮される)③活力(使えば使うほど気分が高揚して元気になる)

自分の強みを知ることは、「自分の人生に何を問われているのか」を知るヒントになる。強みから大切にしている価値観を知る。

得意だけれど熱意を感じないものは手放す(偽りの強み)。ワクワクしなかったら一度休んでみる。ワーカーホリックの人はやめれない。

(7)感想

心理的安全性という言葉は、チームの生産やメンバーのワークエンゲージメントを向上させる時のキーワードとしてかなり浸透してきていると思います。

心理的安全性は、アドラー心理学で言えば、共同体感覚(共同体に対する貢献感、所属感、信頼感)と親和性があると思います。時代がやっと追いついたとも言えるのではないでしょうか。

本書は、心理的安全性を高める要素を6つ挙げて、その要素を花に例えているのがわかりやすい。さらに、各要素(花)の関係性などの構造を示したことはユニークだと思います。

特に、花の中心に「強み」を置くことによって、ポジティブ心理学者からみた心理的安全性の捉え方の独自性が出ていると思います。

強みを発揮しフロー状態であるときは、人は幸せに成長できるのだと思います。

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