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アドラーに救われた女性たち

著者 つるたえみこ

発行 みらいパブリッシング

2020年4月27日 第1刷

日本支援助言士協会会長 コミュニティ・カウンセラー

(1)つるたえみこ氏人生物語(誕生からアドラー心理学の出会いまで)

上京前の人生は、上図にあるように、紆余曲折、波乱万丈の人生の一言に尽きるのではないでしょうか。自分との戦いで、もがき苦しみながらも自分軸を作ろうとする気概を感じます。自分軸は、つるたえみこ氏の人格と言い換えることもできます。
幼少期に、自分は「よそとは違う子」なのだから、何もかも自分でしなえればならないと決断をした点は驚きであり、すでにこの歳で自己決定性に目覚めています。これは、自己決定すれば、自己責任が伴いますので、当然、行動力が身につきます。

祖父母に育てられたことも、上京後の人生に大きな影響を与えていると思います。というのは、特に、祖父が教育熱心で、祖父からたくさんの経験をさせてもらったことが、好奇心の強さを育んだと思います。この好奇心が、上京後のアドラー心理学の出会いを起こしたと言えます。キャリア論的に言えば、プランドハップンスタンス(計画された偶然性)理論で裏付けられます。

また、祖父母との関係性の中で他者と比較して、「自分は何も知らない」という劣等感がついて回るようになったと振り返っていますが、この劣等感が、建設的に有用されて好奇心の強さを導いたのではないでしょうか。逆に、非建設的に使用されたのが、一時期の引きこもりではないか思います。

小学校3年生時に、叔父と同居し、叔父の行動を見て男性に対する不信感が強くなったと振り返っています。これは、上京後フェミニズム活動に刺激を受けることに繋がっているのだと思います。
最後に、「私はあなたに育てられたのではないから」という、密かな復讐もあったのかもしれないと思いを語っていますが、親子の確執した姿を見ていると、気の強さは母親譲りだと思います。

上京後、つるたえみこ氏の強い思いが、自らの人生を大きく転換していく原動力になっていると思います。男性社会のシステムでどうやって、女性も自由に自分のやりたいことができる社会をつくれるかという社会的な関心と自分らしい生き方(自分が生きている実感)を追い求めており、それがアドラー心理学の出会い(プランドハップンスタンス)で開花したのだと思います。

現代アドラー心理学では、自分のライフスタイルは10歳までに形成されると言われています。つるたえみこ氏のライフスタイルを私なりに解釈すると以下のようになります。
①自己概念
私は、ひとりである⇒自立しているという意味合い
②世界像
 人々は、助けてくれない存在である。
 人生は、生きるに値するものである。
③自己理想
 私は、自分らしく生きるべきである。

(2)カウンセリングを通して、出会った人たちに悩み

10のカウンセリング事例が紹介されています。アドラー心理学のキーワードでカウンセリング内容をまとめてみると下記のようになります。

Q1:相互信頼・相互尊敬、存在そのものを受容して勇気づける
Q2:目的論(不登校の目的は?)、ポジティブな注目・関心を示す
Q3:親子のヨコの関係づくり(仲間)、不適切な行動の目的(権力闘争)には乗らない
Q4:他者の良いところに関心をもつ、自分が変わるという視点(自己決定性)
Q5:自分の過去に縛られない、未来の目標を見据える(目的論)
Q6:客観的に自分を見つめ直す
Q7:過去を受け入れて(すべては自分にとって必要なこと)、将来どうするか(目的論)
Q8:自分はどうしたいのか、自分の本音を明らかにする(目的論)
Q9:課題の分離、過干渉は子どもの自立を奪う
Q10:自分の決断に覚悟をもつ(自己決定性)

 つるたえみこ氏の前述した人生物語から読み取れる生き様や熱い思いが、カウンセリングにもにじみ出ており、ほのぼのした(心の暖かさが感じられるさま)気分になります。にじみ出ている点は、特に、自己決定性と目的論から勇気づけをしていることです。

(3)アドラー心理学とは何か?

 アドラー心理学は、問題解決のできる心理学である。
 アドラー心理学の基本的な5つの概念を紹介します。
【人間関係論】:すべての悩みは人間関係にある。だからこそ、人間関係について学ぶことは、すべての悩みを解決する糸口になる
【全体論】:ありのままの個人すべてが、“あなた”である。できない私も、うまくいかない私も、すべて”私“。そう思えると、自分をもっと受け入れやすくなれる。
【自己決定性】:私たちの人生に起きていることはすべて自分自身で決定している。だからこそ、私たちは新しい人生を歩み始めることも決断できる。
【目的論】:私たちは、”幸せになる“という目的のために生きている。私たちの行動のすべてには”目的“がある。問題解決のためには、まず、相手の目的を見極めることが大事。
【勇気づけ】:すべての人間関係を良好にするための第一歩。勇気づけはすべての人間関係を改善するうえでのキーポイント。相手の話を傾聴し、プラスの言葉かけをするだけでいいので、まず実践してみることがおすすめ。

(4)アドラー心理学を使った子育ての方法

 アドラー心理学を使った子育ての悩みを解決するための基本原則は、以下の4つです。
  STEP1:行動の目的は何だろうと考え、誰の課題かをしっかり見極める
  STEP2:気持ちの伝え方を考える
  STEP3:自分の思い込みをチェックしてみる
  STEP4:自分の感情をコントロールするスキルを身につける
 次に、実践編として5つのケースが紹介されています。
 子育ての悩みを解決するポイントは、課題の分離をすること、不適切な行動の目的(注目、関心を引きたい、力を保持したい、復讐したい、無気力状態)には注意すること(距離を置くこと)、些細なことを見つけて「ありがとう」「助かるわ」と勇気づけの声掛けをすることです。

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