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ウィニングカルチャー

著者 中竹 竜二

発行 ダイヤモンド社

2021年2月16日 第1刷発行

(株)チームボックス代表取締役

日本ラクビ―フットボール協会理事

(1)組織文化とは何か

 組織文化は、組織に属する人々が常に抱える、言葉にならない「問い」のことです。それは、ふとした行動や言葉に表れます。目に見えないけれど、組織の成果や評価、未来を激変させる力を持っているものです。 
 一度導き出した「解」をあえて自分で疑い。自問を繰り返し、過去の成果に甘えることなく、自分の殻を破って謙虚に学び続け、進化や成長を止めないこと。これが、ウィンングカルチャの定義です。「ウイン=勝ち」とは、自分たちが定めた目標にたどり着くことです。

(2)組織文化を知る

  組織文化は基本的には組織に属する人の無意識の中にありますので、それを知るためには、無意識下にある組織内の行動のひきがねになっているものを顕在化させなくてはなりません。そのための方法は大きく分けて三つあります。
①自分で知る 
1)内的自己認識(自分が自分をどう思っているか)
2)チェックリストで客観的に評価する(結果を生かして対話を重ねる)
3)4つの場で多角的に調べる(発言者や発言量、反応、意思決定の進め方などチェック)
②他者に聞く
③他者と触れ合う(違和感を覚える機会をつくる)

(3)組織文化を変える

  組織変革を起こすタイミングは、危機感を覚えた時です。そして、組織文化の変革には長い時間がかかります(短くて数年、長ければ10年を超える)。変革が成果に作用するまでにはタイムラグがあります。
  組織変革には、一人ひとりの変容(言葉、行動、価値観)が必要になります。成人発達理論で言えば、人間には二つン成長があります。一つは水平的な成長で、過去の成功体験を生かして成長する考え方で、量的成長であり、ラーンと言い換えられます。一方、垂直的成長は、従来の枠組みを飛び出し、すべての常識や前提を取り払うアンラーンによって、人間性を高め、人間の器を広げて視座を高めていくものです。
  上図で言えば、ラーン×アンラーンの象限が、組織文化の変革ではお手本のような人です。最終的には、すべての象限の人が変えなければ全体はかわりません。
 組織文化を変えるステップは、以下のようになります。
 ①仲間をつくる (例:タスクフォースの設置)
②組織の理想像を決める (自分たちらしい理想像)
③行動基準を決める (組織文化をよりかみ砕いたもの)
④振り返りとフィードバック (行動基準の広げ方や振り返りの方法)
  1)TELL 伝える 2)SHOW 見本を見せる 3)ASK 問いかける 4)DELEGATE  託す

(4)組織文化を進化させる

 組織文化は、進化し続けなければ生き残ることが難しくなります。新たに構築した組織文化が上手くいくと、どうしても人は新しい組織文化の中にとどまりたくなります。その時に、自らを疑い、問い続けれるかです。
意識的に問いかけ、フィードバックし合い、違う意見を言い合うなど、コミュニケーション全体のデザインを変えていかない限り、組織文化を進化させることはできません。
 組織文化を進化させるときに大切なのは、問いを立て方につきます。
①WHY⇒「なぜ」進化させるのかを問いかけ合う
 「うまくいってけれど、さらに進化していこう」というマインドセットを組織全体に埋め込む必要があります。
②HOW⇒「どのように」進化させるのかを問う
 前提を疑い、一段視座を高めて組織文化を見直す問いを考えます。
③WHAT⇒進化するために「何を」すべきかを問う
 10年後の自分たちにどんな具体的なアドバイスをするかを考えます(グロースマインドで)

(5)組織文化の変革に役に立つインテグラル理論

 組織文化とは、組織が置かれている環境、組織が直面する課題、そして組織の中で働くさまざまな人の意識が相互作用して生み出されるもので、組織文化を生み出すそれらの要素を多面的に知ることに、インデグラル理論は力を発揮します。
  インデグラル理論は、個人、組織、社会の成長プロセスを統合的・俯瞰的に示す理論す。同理論では、上図にあるように4つの象限を通じてさまざまな現象を見ています。4つの象限が相互に影響し合う中で、そのつながりを統合的に見て、変革の処方箋を打ち出すのが同理論の特徴です。同理論は、無意識の行動の背後にある意味の階層を深堀りしていくときに非常に役立ちます。
  同理論の発達段階モデルを用いると、上図のようになります。発達段階によって響く言葉が違います。発達段階を無視した言葉を投げかけても、組織文化の変革は進みません。現状よりも一歩先にある組織文化の成熟度を加味した言葉を投げかけることがポイントです。
 変化を拒む背後には、往々にして人や組織に固有のシャドー(心の影)があります。この シャドー(劣等感や過去に負った心の傷)を見ない限り、組織文化の変革は表層的なもの
にとどまってしまう。
  シャドーには、自分たちの行動を抑圧するネガティブな側面もありますが、人や組織の
活動の源になることもあります。これを理解すれば、シャドーと向き合う心理的安全性が確保されます。シャドーをさらけ出せる関係性をつくるのが変革のスタートです。

(6)感想

 組織変革から成果が出るまでには、タイムラグがあることを経営者はよく理解しておくべきだと思います。組織変革には、経営者の覚悟と忍耐が必要です。経営者は、結果がすぐに出ないものは切り捨てたり、目に見える数字で合理的に物事を判断する思考のクセがあります。経営者自らがこの思考のクセをリセットしなければ、組織変革は出来ないと思います。
 さらに、もう一つ加えるとすれば、経営者は、社員を尊敬し信頼する必要があります。
 変革という言葉は、心理的な抵抗を感じます。MUST(しなければならない)のニュアンスがあります。人間には、慣性の法則が働き居心地の良いコンフォートゾーンに居ることを好みます。
 むしろ、成長という言葉に変えるとWANT(したい)のニュアンスに変わります。この方がワクワクしてきますので、感情を揺さぶられます。このように、組織で使う共通言語を変えるだけでも組織の雰囲気が変わってきます。まさしくグロースマインドセットです。

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