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夫婦の教科書 愛に向き合い、家庭をつくる

著者 熊野英一

発行 アルテ

2021年10月15日 第1刷発行

<親と上司の勇気づけ>プロフェッショナル

(1)価値観の異なるパートナーに向き合う

夫婦のパートナーシップのあり方は様々ですが、幸福を感じている夫婦の共通点は、相互信頼、相互尊敬を維持する覚悟があり、長期に渡って様々なライフタスクに協調的に対処できていることです。

脳内に湧き上がる恐れや不安の妄想を手放して、心理的な安全性を自ら確保し、自分のライフスタイルを建設的に使いこなす勇気を持つことが必要です。

自分は生まれながらにして「幸せの3条件」を持っているという自分に対する根拠なき信頼(自信)を持つ、と決意することで、自分が選択したライフスタイルを、勇気を持って建設的に使えるようになります。

<幸せの3条件>
❶ありのままの自分を認めることができる(自己受容)
❷周囲の他者を信頼する(他者信頼)
❸自己を犠牲にすることなく、他者に貢献する(他者貢献)

(2)父・母として、夫・妻として、子育てに向かい合う

親が子どもに成長と自立を望むなら、自身がライフタスクに対峙する時に、共同体感あふれる言動を選択し、子どもに手本を示し、子どもを信じて見守れば良いのです。

「ありのままの自分ではダメなんじゃないか」という謎の罪悪感、謎の自己否定を前提にしてものごとを捉える「おかしなクセ」を身につけた子どもは、自立的に生きる勇気を持てず、ライフタスクに適切に対処できなくなります。

夫婦間でコミュニケーションの課題を抱えているのであれば、相手を責める前に、自分の「言う(伝え方)」と「聴く(捉え方)」を改善するほうが、効果的に課題解決につながります。

(3)親族・独立した子どもの家族に向き合う

夫婦の「愛のタスク」は、親族づきあいなどその他のタスクと密接に絡み合っているからこそ、「課題の分離」を適用すれば、その効果は大きいと言えるでしょう。

親世代の古い価値観の押しつけと、それによる子どもたちにへの勇気くじきが蔓延しています。課題の分離を知らなければ、彼らを子ども扱いして、無遠慮な過保護・過干渉をしてしてしまいがちです。

課題の分離をした上で、その課題を親子で「共同の課題」にしていくやり方を取り入れます。

(4)夫婦の性の問題に向き合う

日本は、他国に比べてセックスレスのカップルが多い国です。性生活を営むパートナーとの関係性に真正面から向き合う時期がきています。

ドライカーズは、セックスには三つの機能があると述べています。最も重視している機能を「一体化」と表現しています。一体化は、人生に対する深い満足、永続的な愛、信頼、献身、安定と未来の幸福をもたらすとしています。

自分の弱さ、不完全さを含めた全てを、隠そうとするのではなく、それらをさらけ出しあい、双方がお互いの不完全さを受け入れ、赦し、無条件で愛するのが真のパートナーシップです。

ペルグリーノ博士は、「大切な人と語り合う時間を持ちなさい。いつも"TTT(Time to Talk)“と頭の中で唱え、意識しなさい」とアドバイスをします。

(5)自己の内面に向き合う

人間は、自分のことをもう一人の自分が俯瞰してみることができる特性があります。禅僧の藤田一照氏は、これを「社長の自分とマネジャーの自分」と表現します。

前者が、心の声に忠実に自分がワクワクする生き方を求める自分で、後者が、失敗するかもしれないなど、社長に再考を促す自分です。

セルフタスクは、社長の自分とマネジャーの自分の両方に注目することです。セルフタスクにしっかり向き合い、自分で自分の機嫌を取ります。

愛のタスクに対処するためには、共同体感覚が不可欠であり、共同体感覚を持つためにはセルフタスクに丁寧に向き合い対処することが必須です。

セルフタスクに真摯に向き合うことが、パートナーシップのバージョン・アップにとって不可欠です。

セルフタスクに向き合うことは、以下のようなことができるようになることです。
❶自分の心の声に耳を傾ける
❷自分の身体感覚や直感を取り戻す
❸課題の分離をして他者との適切な距離感を維持する

(6)自分の魂に向き合う

スピリチュアルタスクとは、自己を取り巻く超越的な存在(神的、霊的、宇宙的な存在や自然など)といかに向き合うかという課題です。

自己を超越した存在を感じた時に、涙が溢れるように気持ちが高ぶり、そこに感謝の念を抱きます。

愛にタスクの舞台である家庭がホームとして機能しているかどうか。ホームとは、建物としての箱ではなく、ありのままの自分でいられる、おだやかな気持ちになれる居場所のことを言います。

家庭の基礎なっている夫婦が、許し許されあってお互いをいとおしくんでいる関係であれば、周囲で暮らす人たちも落ち着いていられます。

身体全体で感じ、心の声に従った行動を選択できるよう、人間が本来持っていた時間と心のゆとりを取り戻してもよいのではないでしょうか。

(7)感想

著者の「どうしたら、私はあなたと仲良くできるのか?」というシンプルな問いかけに、我々は、どう答えることができるのか。自分に何度も問いかけていく必要があると思います。

夫婦のつながりだけでなく、「自分と他者とのつながり」の問題に対する対処のヒントがたくさん詰まっている本だと思います。

幸福なパートナーシップを築くために、一番重要なことは、自分は、幸せの3条件を生来的に持って生まれてきたという「自分に対する根拠なき信頼(自信)」を持つことである。

3条件のなかで、特に、不完全である勇気をもって、ありのままの自分を受け容れる(自己受容する)ことがすべてのスタートだと言っても過言ではないと思います。

この視点からも、愛のタスクは、自己のタスクと連動して対処していく必要があるのだと思います。自分から変わって、パートナーに働きかけていきたい。

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