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定年ひとり起業

著者  大杉 潤

発行 自由国民社

2021年3月25日 初版第1刷発行

フリーの研修講師、経営コンサルタント、ビジネス書作家

(1)定年ひとり起業

70歳就業確保法の施行で、70歳まで働く時代になり、働き方は多様化する中で、
定年のない「定年ひとり起業」は、人生百年時代に最強の選択肢です。
 定年ひとり起業の定義は、定年前の50代、60歳定年時、定年再雇用期間中または終了後に、会社員を卒業して独立起業する働き方です。
 定年ひとり起業の五原則は、以下のようになります。
 ①会社員として働いた経験を長く持った上で50代または60代というタイミングで独立起業する。
 ②個人事業主として開業するが、ファミリー・カンパニーを設立して独立し、原則として自分ひとりで事業を行う。
 ③自宅を事務所にするなど初期投資を最小限に抑え、多額の仕入れや在庫保有を行わず、借金もしない、家族以外の従業員を雇わないという低リスクの事業形態とする。 
 ④厚生年金を確保した上で、年金プラスアルファの収入(月5~10万程度)を目指す規模の事業からスタートし、好きなことを仕事にしてストレスなく働く。
 ⑤会社員時代の経験・知識・スキル・人脈をフル活用し、足りないリソースは外部委託する形で規模を拡大せずに、「長く働くこと」を最優先に事業を運営する。
 このような定年ひとり起業に向いている仕事は、自らの経験・知識・スキルをまったく違う世界の人たちに「教える」「伝える」仕事です。
 雇われない働き方では、自分が仕事の内容、進め方、働く場所や時間を決めれる自己決定感が得られるので、仕事=楽しいという仕事観を持つことができます。人生の幸福度を決めるのは、この思考法と習慣です。習慣では、時間配分やリズムなど行動の習慣がポイントになります。

(2)マネープラン

定年ひとり起業を行うことで、老後資金の不安がなくなるマネープランを立てることが可能になります。
 マネープランのポイントは、以下の3つになります。
 ①何歳まで働くのか。言い換えれば、年金以外のフロー収入が何歳まで入ってくるのかということ。
 ②何歳から年金を受け取るのか。現制度では、65歳を基準にして5歳までの繰り上げと繰り下げが選べます。70歳まで延ばすと年金額は65歳支給額の142%、75歳まで延ばすと184%に大幅アップする。
 ③どんなライフスタイルを送るのか。これまでの仕事を絞り込み、細く長く働き続けるサードキャリアを提言する。
 家計のキャッシュフロー表とバランスシートを定期的に作成して、マネープランを「見える化」します。
 マネープランの仕上げは、「資産運用」、長期・分散・積み立てのインデックス投信による国際分散投資を基本とします。

(3)感想

 本書の最終章では、長く働き続けることを幸福学から説明しています。人生の最終的な目的は、より良く生きること(幸福に生きること)ですから、定年ひとり起業という働き方は、まさしく最強の人生の選択肢だと共感しました。
 本書では、欧米で広まっているIKIGAIベン図を紹介しています。キャリアデザインでは、キャリアの転機では、will、must、canの3つの問いかけをして将来を描きます。これとIKIGAIベン図は、親和性があると思います。ベン図のもう一つの視点である収入が得られることは、稼ぐ力ですので、定年ひとり起業で稼ぐことで生きがいを得ることができると思います。

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