著者 石井遼介
発行 2020年9月10日 初版第1刷発行
日本能率協会マネジメントセンター
(1)チームの心理的安全性
ハーバード大学のエドモンドソンは、「チームの心理的安全性とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと」だと定義しています。この対人関係のリスクは、「良かれと思って行動しても、罰を受けるかもしれない」リスクのことです。具体的には、無知、無能、邪魔、否定的の4つカテゴリ―に整理できます。
チームの心理的安全性は、チームの学習を促進し、チームパフォーマンスの先行指標になります(中長期でパフォーマンスが上がる)。
心理的安全なチームとは、外交的であることでも、アットホームな職場のことでも、単に結束したチームのことでも、すぐに妥協するヌルい職場のことでもありません。
日本の組織では、①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎の4つ因子があるときに心理的安全性が感じられます。
この4つ因子にアプローチして、心理的安全性に変革をもたらすには3段階があります。変えやすい順番に述べると、行動・スキル、関係性・カルチャー、構造・環境の順になります。
チームの心理的安全性は、チームの学習を促進し、チームパフォーマンスの先行指標になります(中長期でパフォーマンスが上がる)。
心理的安全なチームとは、外交的であることでも、アットホームな職場のことでも、単に結束したチームのことでも、すぐに妥協するヌルい職場のことでもありません。
日本の組織では、①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎の4つ因子があるときに心理的安全性が感じられます。
この4つ因子にアプローチして、心理的安全性に変革をもたらすには3段階があります。変えやすい順番に述べると、行動・スキル、関係性・カルチャー、構造・環境の順になります。
(2)リーダーシップとしての心理的柔軟性
関係性・カルチャーを変えるためには、心理的柔軟なリーダーシップが必要です。柔軟性には以下の3つがあります。
①変えられないものを受け入れる
①-1 思考=現実から脱却する ①-2 イやな気持ちを受け入れる
②大切なものへ向かっていく
②-1 大切なことの明確化・言語化 ②-2 大切なことに向けた、行動
③それらをマインドフルに見分ける
③-1 いま、この瞬間への気づきの集中 ③-2 観察者としての私
心理的柔軟性では、正論にとらわれず、役に立つことを重視します。役に立つという時は、予測と影響の二つを重視します。単に、正しいことを学んだりやったりすることではなく、実際に影響を与えるための方法論と実践が重要です。
特に、影響(目標やゴールに向けて影響を及ばせること)のためには、信頼や尊敬が生まれるような具体的にとれる行動にフォーカスします。役に立つ行動がとれるかどうかを論点にします。役に立つかどうかは、状況、立場、文脈によります。
心理的柔軟性のツール/ワークとして、ACT MATRIXがあります(上図参照)。
図の左下:罰や不安に怯え、左上:それを避けるための行動を取ってしまうとき、チームは心理的非安全です。この場合は、役に立たないものの繰り返しに気づき、受け入れて、その行動を減らします。
一方、図の右下:チームにとって、大切なことが明確になっており、右下:その大切なものに近づくための努力をするのが、心理的安全なチームです。
①変えられないものを受け入れる
①-1 思考=現実から脱却する ①-2 イやな気持ちを受け入れる
②大切なものへ向かっていく
②-1 大切なことの明確化・言語化 ②-2 大切なことに向けた、行動
③それらをマインドフルに見分ける
③-1 いま、この瞬間への気づきの集中 ③-2 観察者としての私
心理的柔軟性では、正論にとらわれず、役に立つことを重視します。役に立つという時は、予測と影響の二つを重視します。単に、正しいことを学んだりやったりすることではなく、実際に影響を与えるための方法論と実践が重要です。
特に、影響(目標やゴールに向けて影響を及ばせること)のためには、信頼や尊敬が生まれるような具体的にとれる行動にフォーカスします。役に立つ行動がとれるかどうかを論点にします。役に立つかどうかは、状況、立場、文脈によります。
心理的柔軟性のツール/ワークとして、ACT MATRIXがあります(上図参照)。
図の左下:罰や不安に怯え、左上:それを避けるための行動を取ってしまうとき、チームは心理的非安全です。この場合は、役に立たないものの繰り返しに気づき、受け入れて、その行動を減らします。
一方、図の右下:チームにとって、大切なことが明確になっており、右下:その大切なものに近づくための努力をするのが、心理的安全なチームです。
(3)行動分析でつくる心理的安全性
自分自身とチームメンバーの行動を変え、凝り固まった関係性・カルチャーを解きほぐすためのスキルが行動分析です。行動分析を活用して、望ましい行動を増やし、望ましくない行動を減らします。
望ましい行動は、心理的安全性の4つ因子に結び付く以下のような行動です。
①話しやすさ→話す・聞くという行動
②助け合い→助けを求める・助けるという行動
③挑戦→挑戦する・歓迎する
④新奇歓迎→個性を歓迎する・適切な配置をする行動
行動分析のフレームワークは、「きっかけ→行動→みかえり」です。人々の行動は、きっかけとみかえりによって制御されます。良いみかえり(好子)は、行動が増え、悪いみかえり(嫌子)は、行動が減ります。行動分析は、毎日繰り返されるであろう行動を、よりよいものにしていくスキルです。
望ましい行動は、心理的安全性の4つ因子に結び付く以下のような行動です。
①話しやすさ→話す・聞くという行動
②助け合い→助けを求める・助けるという行動
③挑戦→挑戦する・歓迎する
④新奇歓迎→個性を歓迎する・適切な配置をする行動
行動分析のフレームワークは、「きっかけ→行動→みかえり」です。人々の行動は、きっかけとみかえりによって制御されます。良いみかえり(好子)は、行動が増え、悪いみかえり(嫌子)は、行動が減ります。行動分析は、毎日繰り返されるであろう行動を、よりよいものにしていくスキルです。
(4)言葉で高める心理的安全性
前述した心理的安全性4つの因子に紐づく行動について、言葉の影響力を使って増やしていきます。
言語活動は、言葉で行動を変えます。言葉で教えてもらえれば、まだ行動していないのに適切な行動を学ぶことができます。個人の体験学習を言語化しチームの学習へと昇華できます。
言葉という能力の本質は、現実とシンボルを関係づける力、いわばシンボル操作能力のことを言います。シンボルをさまざまな現実と関連づけられる、この能力は、私たちが言葉でできたルールに従い、行動をとる能力「ルール支配行動」を導きます。
ルール支配行動には、以下の3種類があります。
①言われた通り行動→言われた通り、ルール通りに行動する
②確かにそうやな行動→ルールに従って得られるみかえりによって行動する
③そんな気してきた行動→みかえりの強さをが変わる
組織・チームにとって大切なことを明確に言葉にすることは、行動を活性化する力があります。特に、プロジェクトチームでは、言葉で旗(大義)を立てるが必要があります。
言語活動は、言葉で行動を変えます。言葉で教えてもらえれば、まだ行動していないのに適切な行動を学ぶことができます。個人の体験学習を言語化しチームの学習へと昇華できます。
言葉という能力の本質は、現実とシンボルを関係づける力、いわばシンボル操作能力のことを言います。シンボルをさまざまな現実と関連づけられる、この能力は、私たちが言葉でできたルールに従い、行動をとる能力「ルール支配行動」を導きます。
ルール支配行動には、以下の3種類があります。
①言われた通り行動→言われた通り、ルール通りに行動する
②確かにそうやな行動→ルールに従って得られるみかえりによって行動する
③そんな気してきた行動→みかえりの強さをが変わる
組織・チームにとって大切なことを明確に言葉にすることは、行動を活性化する力があります。特に、プロジェクトチームでは、言葉で旗(大義)を立てるが必要があります。
(5)感想
昨今、ダイバシティ(多様性)を組織内に取り込むこと重要視されています。ダイバシティとは、自分と異なった価値観を持った人を寛容に受け入れることではありません。
組織内で異分子同士が化学反応を起こすことで組織を強くしたり、新結合でイノベーションを起こすことが、ダイバシティの本質的な意味だと思います。
このような化学反応を起こす土俵である組織に、心理的安全性が確保されていなければなりません。
組織開発、組織活性化活動は、心理的安全性を組織に植え付けることが目的であると言っても過言ではないと思います。
組織内で異分子同士が化学反応を起こすことで組織を強くしたり、新結合でイノベーションを起こすことが、ダイバシティの本質的な意味だと思います。
このような化学反応を起こす土俵である組織に、心理的安全性が確保されていなければなりません。
組織開発、組織活性化活動は、心理的安全性を組織に植え付けることが目的であると言っても過言ではないと思います。