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森を見ずに木を見なさい 仕事を面白くするビジネスの原理とキャリアの開発法

著者 加島 禎二

発行 総合法令出版

2022年1月22日 第1刷

(株)セルム代表取締役社長

(1)仕事の捉え方をシフトしよう

自分の仕事は、誰の、何の役に立っているのか? これを考えることが、仕事を面白くする第一歩目です。

仕事とは、ビジネスと捉えます。ビジネスとは、価値を生み出し、その価値をお客様に提供して対価を得ることです。ジョブ(職業・役割)とワーク(作業・労働)は、ビジネスを実現する要素です。

仕事をビジネスと捉えると、仕事の主導権を自分自身で持つことができます。

(2)ビジネスを仕事にして、ビジネスパーソンになろう

自分の仕事を以下のような問いかけに答えることで捉え直します。

私の仕事は、(   ❶   )に、(   ❷   )を提供することです。

❶あなたのお客様、あなたに対価を支払ってくれる人
❷あなたがあなたの仕事を通じて作る出している価値

ビジネスパーソンの心得四ヶ条
❶提案しよう
❷大きな絵を見て仕事をしよう
❸B面を持とう(普段とは違うもう一つの顔を持つ)
❹習熟ではなく進化しよう(習熟は人間よりも機会やロボット、AIの方が得意)

(3)キャリア資産を増やして、キャリアリッチになろう

キャリア資産とは、あなたが仕事を通じて培った仕事に活かせる知識や能力、人脈や経験などのキャリアの価値を、要素に分解して捉えたものです。

キャリア資産は、学習資産(学ぶことによって得られる資産)、実践資産(実務経験を通じて、増やすことができる資産)、内省資産(仕事を通じて自身の言動や行動、思考を省みることで得られる資産)の3種類に分類できます。

キャリア資産は、学ぶ➡実践する➡内省するのサイクルの繰り返しにより、効率的に増やします。

学習資産には、教育、資格、知識、能力の四つがあります。
実践資産には、実績、人脈、リーダーシップ、体験の四つがあります。
内省資産とは、胆力(困難な状況にあっても正しく決断できる精神力)、観、自律の三つがあります。

キャリア資産を効果的に増やす上で大事なことは、「キャリア資産を運用する」ことです。キャリア資産の運用について、勘所となるポイントは、「キャリア資産をたくさん持っている人とつき合う」と「自分のキャリア資産を、他の人に活用してもらうこと」です。

キャリア資産が増えて信頼と評判がどんどん高まりキャリアリッチになると、結果的には自分の市場価値が上がります。

(4)プロフェッショナリティを磨き、ビジネスプロフェッショナルを目指そう

「名指しされるビジネスパーソン」が、ビジネスプロフェッショナルと呼べる人です。

プロフェッショナルには、職能的プロフェッショナルとビジネスプロフェッショナルに大別されます。

ビジネスプロフェッショナルは、キャリア資産を豊富に持ち、どんな時代や環境においても、事業の成長と進化に不可欠な仕事を担える知見と、プロとしての精神性(プロフェッショナリティ)を備えたキャリア像です。

プロとしての精神性(プロフェッショナリティ)には、利他の精神、謙虚さ、自主自立の三つがあります。謙虚さとは、慢心せず、素直な心で、常に誰からでも学ぶ姿勢を持つことです。

ビジネスプロフェッショナルの人物像は、マネジメントコントローラー(皆の努力を収益に変える)、イントレプレナー(市場や事業を生み出す)、チェンジエージェント(組織に変化をもたらす)、プロジェクトマネジャー(新たな課題を解決する)の四つです。この人物像は、仕事の内容や職務の領域ではなく、その人の「汎用的な価値」です。

(5)「人との出会い」を大切にし、心も人生も豊かにしよう


キャリア論を超えて、ビジネスパーソンとしてだけではなく、人間としても成長し、豊かに生きることが方法として、「人との出会いから学ぶ」ことが大切です。人との出会いは、心を豊かにします。

これからの時代、人の「心の豊かさ」がより重要視される時代(人間中心主義)になります。
人間に興味を持ち、楽しんでビジネスをして、人と出会い、心を豊かにし、人として成長することが、豊かな人生ということです。

(6)感想

キャリア資産というフレームワークはわかりやすいと思います。また、その資産を運用して大きくするということもイメージし易いです。

資産を運用することで、ビジネスパーソンからビジネスプロフェッショナルへと転換していくことが、自己の成長であると同時に市場価値もアップします。

ビジネスを中心としてキャリアデザインが描かれていますが、人生を豊かにするライフデザインにも言及しています。

これからの時代は、人の「心の豊かさ」がより重要視される時代(人間中心主義)になるとい著者の考え方に共感しました。だからこそ、目に見えないキャリア資産(特に内省資産)が、今後重要になると思います。

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