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稼ぎ続ける力「定年消滅」時代の新しい仕事論

           

     著書 大前 研一(おおまえ けんいち)

     発売 小学館 2021年4月6日 初版第一刷発行

     BBT代表取締役会長 BBT大学学長

(1)近未来予測と50代からの選択

 2040年は、65歳以上の高齢者人口の割合(高齢化率)は、約35%に到達すると推計されています。つまり、日本人の3人に1人が高齢者になります。高齢者1人を現役世代(15歳から64歳の生産年齢人口)1.5人で支えなければなりません。まさしく、超高齢化社会に世界で初めて迎えます。
 大前氏は、単に統計的なデータで超高齢化社会を説明するだけでなく、世代の特徴を踏まえた提言をしています。20年後に働き盛りである40代、50代は、ミレニアム世代(1980年代~2000年初頭に生まれた世代)です。この世代は、低成長デフレ時代の申し子で低欲望、で内向き・下向きで出不精な価値観やライフスタイルを持っています。大前氏は、この世代が20年後の日本の経済を駆動していくことは難しいので、20年後に60代、70代になるバブル景気を謳歌した世代が相当活躍できると判断しています。
 まさしく、シニアの出番です。今、40代、50代の世代は、2040年に老後があるのではなく、60代、70代になっても仕事をしている自分をイメージし、そういう方向にマインドセットすべきと大前氏は提言しています。
具体的な行動としては、会社を実験台にして定年退職後に手掛ける仕事(起業が望ましい)の予行演習をすることだと言います。自分で稼ぐことができれば、仮に会社の出世競争に負けてでも人生の競争に勝つことができます。
 老後にやりたいことは、遅くても50代から初めなければならないと大前氏は提言しています(50代からの選択)。具体的には、図解にあるように4つの象限で20程度やりたいことをあげれるように推奨しています。
 これを実現するためには、大前氏は、50代になったら自分のために稼ぎ出す目標金額を15万円に設定しています。

(2)実践編

実践編は3つのパートに分けて、以下のように提言しています。
 

[実践編1]<会社を実験台にして稼ぐ力を身につける>  

 ●副業、兼業は、「特殊な技能」を売って、高報酬を得るようなものでなければならない。
 ⇒具体的なスキルは、プログラミング技術やサイバーマーケティングに関するスキルである。
 サイバー社会での試行錯誤から始めなければならない。
 ●新型コロナ禍での成長分野はDXである。
 ⇒クラウドコンピューティングやクラウドソーシングなどサイバー空間に慣れろ。
 ●サイバー空間とリアル空間をつなぐ必要がある。ここに、シニアのリアル空間での経験値と知恵が生きてくる。
 ⇒発想さえあれば、シニアになっても起業することは可能である。

[実践編2]<お金を生む、発想力を磨く>

 *複数の他人が絡んだ仕事はしない。
 *体力の問題も考える。シニアは、24時間戦えない。無理しない労働時間の設定をする。
 *いきなり会社をゼロから立ち上げない。
 *「ドゥ・モア・ベター」の発想は避けるべき、人と違うことをする(アイデア重視)。

[実践編3]<稼げるビジネスはこれだ>

 ◎借金をしないで不動産ビジネスを始める。借金をせずにABSを活用する。
 ◎増え続ける「空き家」をビジネスにする(アイドルエコノミーの発想)。
 ◎事業チャンスは「住宅版メルカリ」である(不動産交換)。
 ◎半農半X(自分が食べる分は自給自足し、残りの時間Xをやりたい仕事や好きなことに使うライフスタイル)から儲かる農業(D2C)まで。
 ◎「三方よし」の新物流システム
 ◎観光版日本列島改造論を提案する
 ◎料理大学を創設せよ

(3)終活編<稼いだお金は死ぬまでに使い果たそう>

 退職金に頼らない老後生活を計画する必要があります。これは、大前氏のいう「月15万円稼げ」という発想です。
 大前氏は、人への投資を推奨しています。つまり、エンジェル投資家になることです。
 なぜなら、今まで培ってきた知識や経験、判断力を活用して若い起業家を育てることは、人生のやりがいや生きがいに繋がるからだと
説明しています。
 仮にこのような投資先が見つからなくとも、死ぬまでに貯金を使い果たすことを大前氏は推奨しています。

(4)感想

 大前氏の「出世競争に負けても、人生の競争に勝つ」という言葉が印象的でした。出世競争は、他者とも競争ですが、人生の競争は、自分自身との競争ではないかと思います。
 それは、死ぬ前に、たくさん財産があることでななく、自分の人生にYESと確信をもって言い切れるかではないでしょうか。定年後も稼ぐという自分の生き様をどのように世に見せて貢献できるかで決まると思います。

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