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拙著の書評をいただきました!その1

発売から約1か月が経過しました。出版社に聞くと順調な滑り出しだそうです。ひとえに、皆様のお陰と感謝しております。読者の方から、グロナビのHPを通して、書評をいただきました。

読者の方からこのような書評をいただき感極まっています。両崖子(りょうがいし)さん、どうもありがとうございました。

Amazonのカスタマーレビューもご覧ください。

   長田邦博著『もし、アドラーが「しゅうかつ」をしたら』への書評:

「もやもやと悩める若者たちにとって、一筋の光を見出すきっかけ」として

世にはすでに「もしアド」本が出ておりますが、長田氏のこの著作には、そのタイトルを超えたものがあり、読者に対するあたたかなメッセージが込められています。アドラー心理学の応用価値を「アドかつ」という言葉で表現しているため、このタイトルになるのは自然だろうと思いますが、それだけでは少々もったいない気がいたします。

というのは、じっさいに書店で人々が本棚に並べられた本書の背中を見たとき、「しゅうかつ」という音感から、学生とシニア、そしてアドラーに関心のある人たちが、まっさきに手に取ることが予想されます。まさにその瞬間、どんな反応があるでしょうか。

若者には、「単なる就職活動でいいの?」と長期的視点を提示している点が特徴的です。今の就活がもの足りないと考えている若者は、本書の奥深さに引き込まれるでしょう。また、シニアには、「終活」の本と思いきや、じつは学びというものの深さを説く構成になっていて、新たな発見と希望を与える仕掛けになっているのが新鮮です。

シニアの視点からすれば、60代・70代はこれからが充実であり、「人間の完成までにまだやることがありますよ」という著者の語りが、通奏低音の励ましとして読者に響き、この年齢にならないと気づかなかったさまざまな事柄を振り返らせるでしょう。そして、それらを一気に結びつける助けになるかもしれません。読んだ人の新たなやる気を引き出してくれるのではないでしょうか。「むしろ今から!」というエールですね。

そして、もう一つの読者層は、アドラーを少々知っている人たち、もしくは、熱烈なアドラーファンの方々だろうと思います。読者自身が開眼するきっかけになるでしょう。著者の長田氏はおそらく、3番目の皆さんを主たるターゲットとして書かれたのではないかと思います。この著書のタイトルにはその思いがよくあらわれています。

これらのうち、読者のひとりである評者の立場から、若者への呼びかけという面で、以下の2つのケースにおいてお勧めできる著書であることを特筆したく思います。1つめは、就職活動を「誰でも通過しなければならない段階だから」と抽象的に考えている若者たちへの考えるヒントとしてです。とりわけアドラーを知っている学生たちならば喜ばれる可能性があるでしょう。もう1つは、「名門大学の卒業生が就活で有利」という現実の壁にぶつかり、悩みを深め、動きが取れなくなっている大多数の大学3~4年生たちに対し、視点を変えさせるきっかけになるだろう、という可能性です。

この著書には、ふところの深い考慮が重ねられ、あたたかさに満ち溢れていることが感じられます。それはアドラーではなく、著者の長田氏のお人柄によるものでしょう。還暦を迎える著者が、実社会のなかで揉まれつつ、学びというものを大事に考え、温めてきたすべてが惜しみなく盛り込まれ、語られているからです。実用に特化したノウハウ本ではなく、純粋な学術書でもありません。だからこそ「何となくモヤモヤする」と悩める若者たちに対して「アドラーってこういう発想をするんだぁ」という気づきをもたらし、彼らのなかに化学反応を起こさせる役割を長田氏が果たしているのです。

かつて三浦綾子氏や松原泰道氏が、数多くのベストセラーを世に送り出しました。その作品群がキリスト教や仏教を紹介するなかで人の生き方を示したように、長田氏がアドラーを通してポジティブな発想による学びのススメを人々に示すことで、その思いが読者の琴線に触れ、共鳴することになるでしょう。この点において、啐啄同時を求める学生に対するとっておきのアドバイスとして、この名著が勧められるでしょう。

                      評者:両崖子(りょうがいし)

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